「萌え」

えーっと、「萌え」には、対象者が意図的に提示する「萌え」と、普段から意図せず備わっている「萌え」の2種類があると思うんですよ。

大抵の方は前者で満足できると思う。
これは、企画系AVでいうところの「ともかく痴漢シーンだけがいっぱい見たい。出来れば電車じゃなくてバスがいい。」志向か、「何故あんな清楚な美少女が痴漢されることに溺れてしまったのかが見たい。」志向の違いに近いと思います。リアルな例えだなあ(苦笑)。
なので、とりあえず前者を「フェチ系萌え」、後者を「性癖系萌え」とします。

代表的な「萌え要素」である「眼鏡っ娘」で例えるとこんな感じかな。
単に「眼鏡をかけている可愛い女の子」が好きな方は前者で、彼女達が普段眼鏡を愛用しているかまではこだわらないと思われます。綺麗な眼鏡っ娘であることが重要でしょう。
一方、「いつでも眼鏡をかけている地味な女の子の”不器用にはにかむしぐさ”こそが真の眼鏡っ娘の可愛らしさだ。」と考えているひとが後者です。この「可愛らしさ」は素材の可愛らしさとは必ずしも一致しません。
(これが同じだと思った方は多分に「萌え」自体に興味ないんだろうな。)

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なんでそんなことを考える様になったのか...それは、ちょっと遅い初詣での体験でのこと。

今年の初め奥さんと都内でも有名なYという神社に厄除けに行きました。
そこは流石に人気があるので沢山の人出だったのですが、当然それに伴い神社のスタッフも増員。
「神社のスタッフ」=巫女さんですな。
いわゆるコスプレの世界では巫女さんは人気の様ですが、あれには特に何もときめかなかったんだよねえ。

でも本物は段違いだった。

外で整理している女の子は特に対した事は無かったんですが、本堂にいる巫女さんは違ったよ。うわあこんなに可愛い子が世の中にいるのかってくらい可愛かった。イメージは栄倉奈々の巫女姿を想像すればいい。一瞬クラクラきたね。
でその子は別に媚びることもなく凛とした態度で周りと接し、喧騒の中でもそこだけゆったりとした時間が流れているんだよ。
で、さらに奥さんの怪情報「巫女さんってさあ、バイトの中でも高収入だし、変な男がつかないんで人気が高いんだよ。だから才色兼備な女の子が自然と集まってくるんだよね〜」でバックグラウンドを補完したお陰で、クラクラモードが一気に「巫女さん萌え〜」なモードに切り替る...

よく見ると、その子は可愛らしさを消そうという気持ちで一杯だった様子も感じ取られるんだよね。本来その世界には必要の無いものだし、知性のある自分を判って欲しいと思っているのかもしれない。だけど有り得ないくらいに可愛いから本堂の最高の立ち位置にいられるんだよね。多分にそのジレンマは感じていたと思う(あ、脳内補完作業がかなり進行しているみたいなので、これくらいにしとくよ(苦笑))。

とまあ、結局何しに来たんだかわからんちん状態でその神社を後にするんだけど、「萌え」ってのは、スタイルオンリーじゃダメで、本来はそういうバックグラウンドこそが重要なんだってことが良くわかった一瞬だったよ。

よく考えたら、眼鏡っ娘は図書館に居て欲しいし、メイド風衣装の売り子さんは秋葉原じゃなくって広尾や白金台辺りに居て欲しいし、ジュニアファンションはロリ系AV女優よりジュニアファッション売り場のお姉さんに着て欲しいし、水着も出来れば部屋で着て欲しい(何だそれ(苦笑))*1とか、元々そーゆーポリシーがあったんだよな。
で、その様々なシチュエーションを「萌え」と「エロ(あるいは「男のロマン」)」と「萎え」に分けさらに何故かそうなのか?を考えると、大体の構造がわかってくるんだと思う。

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さらに深く考えると、(興味の無さや無邪気さ等で)自分の武器に気が付かついていない様子、あるいはチャームポイントを欠点だと思い悩んでいる様子、それと可愛い自分を否定する行動、この3つが「性癖系萌え」の根本なんだと思っています。
既に気が付いてそれに媚びているとわかってしまうその瞬間が、正に「萎え」だからね。
(ラッキー7オーディションの該当者無しの理由は意外とそこにあったりしてな(苦笑)。)

じゃあ、例えば眼鏡をかけているという行為に対して、ファッション等に無頓着ゆえのことなのか、何らかのコンプレックスを感じつつ何も出来ない状況なのか、あるいは可愛い自分が邪魔なのか...という心理状態の違いが「萌え」にどのように影響するか?...なんですが、時間が無いので暇な時にでも考えときます(笑)。

それと私の考えた仮説は、実生活における「萌え」をターゲットにしているものなので、空想の世界にしか存在し得ない「萌え要素」である「猫耳」に当てはめた場合、それだけでキャラクターの物理的構造を示してしまう為「フェチ系萌え」に大きくシフトしてしまうことになり、”早く人間になりたい系キャラ”でも無い限り「性癖系萌え」の入り込む余地は難しいでしょうね。
ただヒットするかどうかは「性癖系萌え」ファンのハートを掴めるかにかかってきそうです。

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おまけ。
明日発売の単行本「萌え萌えジャパン」に小倉優子が載ってるってことを、最近になって知りました(苦笑)。
何で?

小倉優子の社会的な役割は、アイドルというよりも、古くは戸川純とか松本小雪とか、ここ十年のスパンで考えると篠原ともえといった不思議系少女の後継者という捉え方をした方が良い。江戸林家でいえば正蔵のような存在。
なので、何で「萌え萌えジャパン」に載ったのかは、それこそ不思議系。

まあ「フェチ系萌え」アイドルとは言えなくも無いけどね*2。でもどの身体的要素が「萌える」かもわからないし、性格も作ってる感が強い*3ので性癖的なアプローチも極めて困難だよなあ。
ただ、歌手であることが望みではあるんだけど(聴覚から得られる情報は重要だからね)、コンセプトが今一伝わってこないんだよなあ。2ndはあれだけ素晴らしかったんだけどねえ...

俺なら”ももち”載せちゃうけどね。
「うに、かにみそ、かんぱち」萌え〜(苦笑)。

*1:つーか、似合う似合わないとかを真剣に悩む姿がいいんだよね。ダイエットしなきゃなあ...とか。でも君の魅力はそこにあるんだよっていう感覚。これは「トロピカ〜ル恋して〜る」のディティール感にも通ずるものがあるかもな。

*2:まあアプローチが最初にジャンルありきなので、そうなるのは仕方が無いんだけど。

*3:昔からあのまんまなので作ってる感は個人的には感じませんが、一般的な話として。