今明らかになる「ケチャ」と客パフォーマンスのルーツ(その3)

というわけで、前回の続きです。

今回のターゲットは河合奈保子「スマイル・フォー・ミー」です。
例のブツを入手してチェックしましたよ。
http://columbia.jp/~kawai/dvd.html

まず、何故、河合奈保子かといいますと、幼少(ってほどでも無いけどね)の頃、当時親戚から彼女のライブビデオを見せられまして、そこに展開する野郎どもの一種異様な応援風景を間接ながら目の当たりにして、「おー!やな青春だよねー!俺はこーはなりたくねーなー!」と心に誓ったもんです(笑)。1980年代初頭の話です。

そういうイメージがあったことと、当時のライバルでもある松田聖子と比較して、よりアイドルとして記号化され、贅肉を削ぎ落とした楽曲を唄っていたこと(特に初期)から、これはターゲットになるなあと感じた次第です。

それと当時メジャーでしたから、応援スタイルも本流だってこともあるでしょうし。

で、その映像を見たんですが、やはり記憶どおり、アイドル流の応援スタイルはこの時点である程度確立しておりました。
以下は、その詳細です。

1. 1982/10/17、東京、郵便貯金ホール
全体に引きの映像が多く、客席のパフォーマンスも(多少暗いながら)判断可能です。これは参考になりますね。
ペンライトは10%程。輝きからして本当にペンライトでしょうね。色は白が殆ど。それでもこの時代からあったんですね。

まずイントロと間奏にロングコールが入ります。「L・O・V・E・*・*・*・*・なおこ〜」といった、ゆっくりめのコール。間奏の時はまた違ったコール有り。ロングコールは前奏・間奏など邪魔にならないところで思いっきり叫ぶというスタイルですね。
(当然「Oi! Oi!〜」は無し。)
Aメロはメロディー間に「なおこ〜」有り。ハロプロで言えば「ゆうこー」みたいな感じで。
Aメロ終了時(Bメロ直前)にジャンプ有り。この曲では都合2回あります。それ以外のジャンプは見当たりません。しかしジャンプがあるなんて思っていませんでしたので、これは収穫ですね。

問題のBメロでは、親衛隊のホイッスル「ピーピピー」の合図と共に、両手を上にして手拍子をするのですが、「ピー」の時に左斜め上にスライドし1回、「ピピー」の時にそのまま右斜め上にスライドし2回手拍子を打つ。これが例の「ワンツー」なんでしょうね。手の位置は真上か斜め前かまでは把握できませんでしたが、思いっきり伸ばしている方もいるようです。
(ちなみにPPPHの「H」はありませんし、当然ジャンプもありません。)
Bメロからサビに移る直前に「ワン・ツー・スリー・フォー」と4拍で叫びます。

サビ「スマイル・フォー・ミー〜♪」の時にもユニゾンで一緒に唄いながらのパフォーマンス(手振り)はありますが、暗くて良く分かりません。ただこの曲独自の振りでしょう。
で、エンディングの演奏時に、ゆっくり「なーおこちゃーーん」を数回繰り返し、シメ。この声援がいかにも親衛隊らしく、統制が取れてるって感じで懐かしいですね。

基本的に叫ぶ時にはオーバースロー気味に手を振ります。例の応援団スタイルに近い。「ワン・ツー・スリー・フォー」だと4回、「なおこ〜」だと1回振ります。ロングコールだと叫ぶ回数分手を振る感じですね。「L・O・V・E」だと4回ですね。

上記のパフォーマンスは後ろになるほど一体化しています。やはり親衛隊は後ろなんでしょうね。

2. 1983/10/10、東京、郵便貯金ホール
ここではでピエロ姿でキーボードを弾くといった荒業に出るので、イントロは参考になりません。
客席はあまり写らず。音声から判断して特に変化は無い模様。

3. 1984/07/24、よみうりランド EAST
設営シーンが主で、参考にならず。

4. 1987/07/24、よみうりランド EAST
一応、客席も写っているので多少参考になりますが、 ペンライトは相変わらず10%台といったところ。Aメロ終了時のジャンプは人数的にはあまり多くない模様。
Bメロのワンツー時はホイッスルは変わりませんが、何故か手拍子では無く、右手で左〜右〜と手を旗を振るように大振りするスタイルに変化しています。ジャンプはありません。
それよりも何よりも一番の変化は紙テープが多いこと。ステージの床が見えない(笑)。1983年までのステージ上には皆無だったので、この変化は一体何なんだろう。
本人及びファンの年齢が上がるにつれ、統制の取れた応援が少なくなっている様に感じます。応援も手拍子オンリーなどのシンプルな方が多いですね。

5. 1988/07/24、よみうりランド EAST
相当なスローバージョンなので参考にならず。
紙テープの多さは変わらず。

以上。

この曲はBメロがPPPHを誘発し易い、典型的なアイドルポップスの原型に近いタイプの曲ですので、それらの楽曲群に見合った応援スタイルとして、ワンツーが生まれていったのだということが良く分かります。

で、次のターゲットは70年代後期〜80年前後。石野真子や榊原郁恵あたりかなあ。これは入手困難だよね。多分。
それと、キャンディーズの、例えば「暑中お見舞い申し上げます」は、PPPHを誘発しそうなBメロ(つーか、サビですねアレは(笑))が確立されている名曲で、ファンの団結ぶりもクローズアップされたアーティストですから、これも良いサンプルになりそうです。