BON-BON BLANCO/CD「BON VOYAGE!」

BON-BON BLANCOBON VOYAGE!/COCA-15618/限定盤
BON-BON BLANCOBON VOYAGE!/COCA-15617

  1. BON VOYAGE!
    作詞:PANINARO 30/作曲:Kohsuke Oshima/編曲:Kohsuke Oshima
  2. ありがとう I Love you,yet
    作詞:凛々/作曲:Toshiaki/編曲:Masazumi Ozawa

まずは、大ヒットおめでとう。

アーティストがポップなサウンドでブレイクする瞬間っていうのは、自分のやりたいこと、自分の音楽のルーツを、ある意味ストイックなまでに徹底的に直視していく時間を経て、初めて生まれるものだと思う。
エルビス・コステロしかり、ザ・キュアーしかり、そしてザ・ビートルズしかり...
まあ、中高生の小娘たちにそんなこと分かるわけがねーじゃん...なんて済ましてしまうのはとても簡単なことなんだろうけど、そうじゃなく、彼女達は今までのシングルの積み重ねでそれに近い体験をしてきたと思う。スタッフや我々ファンを含め、アイドルなんだけど妥協は許さない...そんな緊張感の中でやってきた甲斐があったと感じさせる。

前作はテクニカルな冒険心あふれる意欲作で、個人的にはこれでブレイクするか?...と思わせるほどの出来栄えだったが、結果的にはブレイクには至らなかった。しかし彼女達はしっかりとそれをも肥やしにした。

本作は、良く言えば集大成なのだが、長い間彼女の音楽を聴いてきた私からみると、表現としては、むしろ「おさらい」的な作品に近いと感ずる。
というのも、集大成ならば、”技のてんこ盛り”となってしまい、曲本来の楽しさを見失ってしまいがち。そういったテクニカル面をやや抑えて(抑えてこのレベルだということも凄いが)、その代わりにキャッチーな曲の表現を伝えることに重きを置いた作品といえるであろう。

また、この曲の特徴は、ラテンフレーバーの中に、そこはかとない切なさが漂うメロディライン。
ラテンといえば、1980年代に流行ったランバダをはじめ、セクシーなイメージが先行しまいがちで、ティーンアイドルには不向きな印象もある。
しかし、アイドル冬の時代から、さくら組中谷美紀東恵子をフィーチャーしたKEY WEST CLUBなど、アイドルポップスとラテンサウンドの融合を常にチャレンジしてきた、ビーイングサウンドを面を担当することによって、ある意味不可能と思われたドリーミー感をも醸し出すことに成功している。

C/Wはどちらかというと本来の進むべき道筋に沿った形の曲。ライヴでのサプリメントを意識したナンバーと言える。

尚、機会があれば彼女達のイヴェント・ライヴに顔を出すといい。
ぽっと出のインチキサウンドでもなんでもなく、彼女達なりの年輪をも感じさせる芳醇なサウンドに酔いしれるだろう。
さらに彼女達はキュートでサービス精神の固まりの様な女の子たち。きっと虜になるに違いない。