アイドルポップスの三要素(その3)
続きます。
実は「キャッチーでドリーミーな」という形容詞は、別にdreamから採ったわけではなく(笑)、洋楽の特にソフトロック系の評論でよく使われている表現なのですね。
ソフトロック(主に1960年代後半から1970前半のハーモニー中心の心地よいポップロックのこと)の中には、バブルガムポップス的な楽曲も多いんです。語弊があるかもしれませんが、バブルガムポップスはアイドルポップスに一番近いカテゴリーだと思います。
バブルガムポップスはいわゆる一発屋の世界、中には全米大ヒットしてからメンバーをでっち上げた幽霊バンドもあったりするなど、結構楽しい世界が展開されています。
そーゆー曲はひたすらキャッチーさを追求しています。
実はJ-POPのヒットメイキングは、未だにこれに近い手法がとられたりしています。結構皆さん踊らされているんですよねえ(笑)。
なのでアーティスト気取りのクズが多いJ-POPよりも、アイドルちゃんで踊らされた方が気が楽です(苦笑)。
また、ソフトロックで表現される「ドリーミーな楽曲」とは、別に萌えるような楽曲ではなく(笑)、ビーチボーイズなどに代表されるハーモニーポップス的な要素をふんだんに取り入れた楽曲の事を指します。
そうですねえ...モーニング娘。ファン向けには「真夏の光線」のサビがそれに近いかなあ。うーん、それよりもフランスワールドカップ時に良く唄われた「翼をください」の方がより近いですねえ(笑)。
これをアイドルポップスに置き換えた場合、「桃色片想い」とか「LOVE涙色」といった楽曲がドリーミーだよね...って事になるわけです。
そういった2つの指標に、女の子の不可欠な要素である「キュート」さを追加して、指標としてのバランスを取っています。
どこぞのインタビューでつんく♂氏が「アイドル歌謡はとても難しいジャンル」と言っておりましたが、確かにポピュラーミュージックの中で一番難しいジャンルのひとつであることは間違いないと思います。
結果的にアイドルポップスは、大衆歌としての役割を担っており、万人受けすることが目標というか目的であるが、その反面、歌い手が著しく制限されることも特徴ですね。
そしてさらに作家自身が歌うことを目的としていないことが、難しさに拍車をかける要因なんでしょうね。
そういえば、どこぞのシンガーソングライター系の”どえらいひと(笑)”が「モーニング娘。はダメだ」とか言っていたそーなんですけど、そのどこぞの方って今までアイドルに楽曲を提供したことが無いんですかね?...提供したことがあれば、そんな無謀こと言わないよなあ(笑)。
例えば、吉田拓郎も井上陽水も大瀧詠一も細野晴臣も、中島みゆきも松任谷由実も原由子も、山下達郎も竹内まりやも、「普通に」アイドルたちに楽曲を提供しています(「いました」の方が相応しいかなあ(笑))。
最近ではつんく♂、河村隆一、そして奥田俊作(MALIBU CONVERTIBLE)夫妻(笑)らがそうですね。
で、この「普通に」ってのが一番難しい。
かつてのビートルズもそうであったように、アイドルとして楽曲を提供できるスキルこそが、その作家の力量を物語るものだと思って差し支えないでしょう。