アイドルポップスの三要素(その4)

つーわけで、参考資料的に各方面の傾向を提示したいと思います。

ハロプロ以外のアイドル
面白いのは、ハロプロ以外のアイドルの場合、キュートさは本人にお任せして、ともかくキャッチーな楽曲で勝負しようとする傾向のアーティストが多く見受けられることです。
まあ、それは個性を強く打ち出すことの表れかもしれないし、冒険心の表れかもしれないのですが、アイドル的ルックスでありながら、楽曲がアイドルっぽくないよなあ...とか、外しているよなあ(笑)...という矛盾を、何らかの形で感じることになります。
まあ、これは当たればデカイんですけどね。多くの場合はマイナスにしかなりません。

さらに本人達がアイドルじゃないと思ったりしていると、さらに始末が悪いです(笑)。まあ、これは1980年代の単体アイドルあたりから、然程変わっていない傾向なので、仕方ないといえば仕方ないのですが、そろそろいい加減にして欲しいです(苦笑)。

よってここ数年(つーか1990年代初頭あたりからかなあ)、ある程度世界観が出来た(つーか本人がアイドルだと自覚した(笑))アイドルの、セカンドステージ的な意味合いでデビューさせるといった方法が主流となっています。
これらは世界観は一応安定していますが、やはりキュートさを本人に委ねられている部分は依然高く、ある程度成功したアイドルでないと、セールス的には成功できません(笑)。
よって、個人的には満足できる作品は少なく、良し悪しは作家のモチベーション次第ですね。とほほ(笑)。

その一方、知名度が低いアイドル、とりわけ地方系アイドルについては、一転して世界観重視の傾向があるようです。
よってドリーミーな楽曲が多く、ここにコアなファンを惹きつける要因がありそうです。

ハロプロ系アイドル
一方、ハロプロというかつんく♂ファミリーというか、彼の作品は意外な程にドリーミーさを重視している感があります。

例えば、メロン記念日における、つんく♂作品と新堂敦士作品の違いを考えるとわかりやすいですね。
両者ともポップな作品が身上なんですが、新堂敦士作品はキャッチーさ重視の方向性が強く、つんく♂作品は特に柴田あゆみ系作品を中心にドリーミー指向が強いです。

また、松浦亜弥でさえ、パーソナルなものに頼るのではなく、楽曲中心の展開を考えていたからこそ、あれだけの人気者になったわけです。これは、多くの大物大衆歌手が進んでいった道と同じです。特に1970年代のアイドルの成功パターンに似ています。
よって、松浦亜弥作品は新人1年目のシングルを中心にドリーミーな楽曲の宝庫です。アニメファンに松浦亜弥ファンが多いのも頷けます。
第4期メンバー加入後のタンポポも同様。最近のZYXもそうですね。

一方でモーニング娘。後藤真希プッチモニミニモニ。はキャッチーさ重視の傾向があり、上手く使い分けています。
モー娘。でのドリーミー重視楽曲は「I WISH」、「Do it! Now」、「AS FOR ONE DAY」、「好きな先輩」、「がんばっちゃえ!」、「せんこう花火」など。どちらかというとC/Wやアルバム曲等が中心でしょうか。意外に少数派かもしれませんが、効果的でもあります。

よってハロプロ系の楽曲群は、現代アイドルポップスの中心的存在であることは間違いないでしょう。
ここがハロプロ系、非ハロプロ系の大きな違いです。

アイドル声優
声優の場合、そろそろキュートさで売るという手法は成り立たなくなる年齢に達しそうなアーティストが中心ですから、どちらかというと(キュートさを補うために)ドリーミーさに偏重する傾向があります。
しかし、これが声優個々の経験からくる安定感と相まって、(主にキングレコード周辺から)下手なアイドルよりアイドルらしい楽曲群が潤沢に提供されていることの理由となっています。

声優ファンはオンリーファンが多そうですから、キングレコード系の人気アイドル声優を何名か挙げておけば、どれかは聴いた事があるでしょう(笑)。以下に代表的な楽曲を挙げておきます。

堀江由衣は「LOVE DESTINY」が正にそうですね。どちらかというと「せつなさ」重視の楽曲にドリーミーさを感じさせます。
田村ゆかりは、多分に日本のあらゆるシンガーの中で、一番ドリーミーな楽曲を歌いこなせるアーティストの一人といえます。なので対象曲は多いのですが、最近では「眠れぬ夜につかまえて」のセンスのよさが抜群ですね。
野川さくらは、落ち着いた雰囲気の中に垣間見える可愛らしさが売りですが、楽曲もその傾向があるようです。「SAKURAマジック 〜しあわせになろう〜」や「心配かけてごめんね?」は1980年テイストを感じさせます。ひたすら萌えます(苦笑)。
水樹奈々は、多分に日本一上手いポップスシンガーだと思いますが(笑)、どちらかというと愛内里菜島谷ひとみをハードにした様な楽曲が多く(でも奈々ちゃんの方が良い様に感ずるのは何故でしょう(笑))、純粋なアイドルポップスとしての楽曲は少なく感じます。それでも2ndアルバムの「ジュリエット」や「二人のMemory」あたりが、1980年後期〜末期の歌唱力重視のアイドルたちの様なポップスマインドを感じさせます。

一方、その逆でキュートさとかキャッチーさオンリーで責めると、浮いちゃう曲が多いです。まあそれもまた楽しいですが(笑)。

美少女ゲーム
余り詳しくは無いのですが、I've系や佐藤裕美も、楽曲的にはアイドルポップスの延長といえますね。

(以上でこの項おしまい(笑))