「オタク層」の市場規模推計と実態に関する調査

例の野村総研の市場調査の元ネタ
こちらは読んでいますか?

いわゆる昔から存在するマニア層、鉄道や無線、切手・コイン・カード・オモチャ収集などのコレクターメインのマニアが無視されていることが特徴ですが、そこから推測するに、家電(あるいはパソコン)メーカーがマルチメディア戦略で必要とされる「ある種の購買層」のみに絞って調査していると思われます。
だって、クライアントからの要望がなければ、こんなもの調査しませんからねえ(爆笑)。

また、表に出てきませんが、アダルト市場等も加味して調査していると思われます。そこまで調べないと片手落ちなんじゃないですかね?
また年代比・男女比等、本当に使える部分は隠蔽されていることも特徴(笑)。

各層の分析からアイドルマニア部分のみを引用します。

●アイドルマニア
 特定のアーティストやタレントに対して強いあこがれや共感を持ち、情報収集や応援活動を生活の中で高い優先度で積極的に行う層。マニア層は男女別に主に形成され、年齢は10〜30代。基本的に「現場系」(アイドルと空間と時間を共有したい人、時間面の負担が重いため10〜20代の若年層が多い)と「コレクター系」(資金面の負担が重いため20〜30代に分布)の2タイプおよびその複合系からなる。

アイドル市場は概ね合っているでしょう。会員数から推定ってのは比較的楽ですからね。文脈(「あこがれ」という単語を使用するあたり)から、女性優位は明らかで、概ね女性60〜70万人(ジャニーズ、ビジュアル系アーティスト等がメイン)、男性10〜20万人(ハロプロ、グラビア系がメイン)程度なのではないかと。
ただこれだと、特攻服着てたり、車中爆音で鳴らしているでいる子達をオタク視できるか?...という疑問もありますけど、まあこれは誤差の範囲ではないかと。

また、多くのサイトでも指摘があるとおり、おたくは「広く浅く」でも「狭く深く」でもなく、「広く深く」が特徴ですから、当然クロスオーバーしていると思います。
それはちゃんと説明されてますね。延べ人数でも推計市場規模の推定根拠が崩れてなければ問題ないでしょう。

ただし、最近の若年層の多くは普通の子とルックス的に変わらず、おたく文化をサブカルチャー的フィルターで見ることが特徴すので、今風の「オタク」あるいは「ヲタ」ではなく、性格(性質)的に本来の「おたく」堅気な人間は、この数分の1程度ではないかと思います。
つまり若年層の「現場系」が30代の「コレクター系」として生き残る率は低いということ。

なので、これ見て安易に「若者向けにヲタヲタしいモノを作れば必ず売れる」と考えない方が良いですね。

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つーか...

 オタクの購買意欲の高さやコミュニティのコアメンバーとしての影響力など、次の流行を予測する視点からも期待できる母集団だと見ており、今後は車やAV機器などにも対象を広げたオタク調査を進めていく。
(ITmediaニュースより)

AV機器は判るけど、車ってなんだ(笑)?

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2004.08.25、18:00頃追記
なんか幾つかのアイドルヲタ系サイトを見ていると、アイドルマニアが異常に多いってのは嘘だろって意見が多い(笑)。

野村総研では表記されておりませんが、asahi.comでは「ファンクラブ組織から中核的な会員を抽出」ってありますね。マジかよ。ホント単純だなあ(笑)。

まあ、この論理で考えると、現在のハロプロFCが約10万人(書籍「ハロプロ大百科」より)*1とのことですので、まあ偽名を使って2重に入っている人数を差し引いても、ZONEやその他のFCの人数を加算すれば、まあ男性向けアイドルファンは10万人は固いんでしょうね。

その他70万人はジャニーズ(各アーティスト毎のFCの様です)やビジュアル系を始めとしたJ-POPアーティストですかね。これで80万人なんでしょう。
SMAPの会員数だけで40〜50万人(嵐で10万人程度)という話も聞きますので*2、まあジャニーズだけでも楽々クリアなんじゃないかと。

後は何処からがヲタで、どこまでがヲタではないっていう線引きだけなんでしょう。
列強のマイナーアイドルファンと、平凡なメジャーアイドルファンのもつ「ヲタ」イメージは異なるもの。
メジャーアイドルならば、FCに入って、年に数回ライブへ出向き、後はビデオ録画や、オフィシャルのトレカや生写真を集めて自慢するといった行為でも、充分オタク的行為と考えてよろしいんじゃないかと思います。
人によってはCD買わないってのもアリだと思いますしね。

この調査内容は、ニッチ市場へのアプローチを模索するハードウエアメーカー向け、ないしは秋葉原等で出店計画を模索している大規模小売店舗向けのマーケティング・アプローチ用の基礎資料的役割ではないかと思われますので、知りたいのはあくまでも総括的(あるいは潜在的)な市場規模の把握なんでしょうね。

ただ、この仮定だと、他のジャンルに比べアイドルオタクはあまり魅力的な購買層では無いような気がします(笑)。そこが一番の問題ではないかと。

*1:知人の番号が確か17万番台でしたので、延べ数ではなく総数だと思います。

*2:こちらは掲示板等にかかれていたFC会員に関する書き込みからの推定。延べ人数の可能性が高い。